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執筆者の写真広 天田

最強の弱者、ザッソウ。

雑草魂という言葉を使ったこと、聞いたことはありませんか?人並みの努力だと周りの人よりもできないし、失敗ばかり。コンプレックスの塊で悩んでいる自分は、反骨心から良くこんなことを言っていました。

「雑草のように何回踏まれても、成功するまで何度も立ち上がってみせます」

前向きな気持ちだけで何とかやり遂げようとする、典型的な脳ミソ空っぽ人間の言葉です。そんな私が先日、雑草生態学を専攻する農学博士の稲垣さん著書『雑草はなぜそこに生えているのか』を読んだとき、「雑草は踏まれても踏まれても立ち上がらない」という衝撃的な事実を知るのです。

雑草魂を誤用されがちな昨今、著者は下記を教えてくれました。

実際は踏まれた雑草は立ち上がらなく、そもそもよく踏まれるところに生えている雑草は、ダメージが小さいように地面に横たわるようにして生えている。 たくましい雑草のイメージとは異なるかもしれないが、雑草にとってもっとも重要なことは、花を咲かせて種子を残すこと。踏まれて立ち上がるという余分なエネルギーを使うよりも、踏まれながらも、種子を残すことに最大限のエネルギーを注いだ方が合理的。 踏まれても立ち上がるやみくもな根性論よりも、ずっとしたたかで、たくましい。「踏まれても踏まれても、必ず花を咲かせて種子を残す」。大切なことを見失わない生き方こそが、本当の雑草魂なのだ。

目的意識を常に持ち、それを達成するために最善を尽くす姿勢。雑草に対する固定概念を覆された瞬間です。



心が動いたのは、これだけではありませんでした。オンリー1を目指して、ナンバー1になっている雑草のこのような戦略です。

同じような環境で暮らす生物同士は、激しく競争し、ナンバー1しか生きられない。 これは「ガウゼの法則」と呼ばれる自然界の鉄則。ゾウリムシとヒメゾウリムシという二種類のゾウリムシを一つの水槽で一緒に飼うと、水や餌が豊富にあっても、一種類しか生き残れない。 しかし、ゾウリムシとミドリゾウリムシで実験をすると、二種類が共存する。実はゾウリムシとミドリゾウリムシは棲む場所と餌が異なる。つまり、暮らす環境が異なれば、生物は共存することができるのだ。自然界に存在するすべての生物は、それぞれの場所でナンバー1。そしてその場所は生物にとってオンリー1であるので、すべての生物はナンバー1であると同時にオンリー1であるということができる。 ナンバー1になれるオンリー1の場所を、生態学では「ニッチ」という。ニッチは、場所とは限らない。餌や環境の場合もある。ジグソーパズルのように、生物のニッチは分かれて細かく組み合わさっており、ニッチが重なったところでは一種類のみが生き残る。雑草の生存戦略は、競争を避けて撹乱のあるところに生えるということ。植物は集まって生えているのでわかりにくいが、それぞれニッチを分け合って共存していると考えられている。

オンリー1のナンバー1を目指すという生物界の話ですが、人間界もオンリー1でありナンバー1になれます。その一人一人は、必ずしもニッチを棲み分ける必要はありませんが、ナンバー1になれるオンリー1を目指すこと。これは人間社会を生き抜くヒントになると感じます。


また、私は簡単にナンバー1になれる方法として「自分らしさ」を追求することにあると思います。


得意なことや好きなことを活かせる。好きでもないのに自然にできてしまうこと。ときには、得意なことだけど強力なライバルがいることもあるでしょう。こうしたときは、植物界にいる雑草たちの「ニッチシフト」を考えるのはどうでしょう。

自分のニッチ(オンリー1)を少しずらしながら探し、そこで一番輝ける存在になる。

好きでないのに得意なことは、少しずらせば好きなことになるかもしれません。好きなのに苦手なことは、同様にずらしていくことで得意になるかもしれませんね。




本当の雑草魂とは何か。


"目的意識を常に忘れないで、ベストな方法を貫く"


"誰ともかぶらない、自分だけが活躍できるフィールドで戦う"


雑草の生き様、とてもクールだと思いませんか?

散歩するとき、たまには雑草に向かって、「お前らしくてかっこいい、今日も輝いてるな」と褒めてあげたいし、こんなイケてる雑草のように、自分らしい人生を謳歌したいと思います。

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