『星の王子さま』という宝石のように、こころを潤し輝かせてくれる本と出会いました。
フランスのサン・テグジュペリ著作で、パイロットである主人公が砂漠に不時着して出会った星の王子さまのお話。自分の星を後にして6つの星を旅し、7つ目の地球にたどり着いた王子さまと主人公との触れ合いの中で、大人が忘れがちな何かを気づいていく寓話です。幸せな日々を過ごすためのヒントがここにあると信じ、この物語を紹介しながら自分の想いを綴りたいと思います。
【本のあらすじ】
王子さまは自分の星に1人で住んでおり、1輪のバラを大切に育てていました。そんな王子さまは、地球に着くまでに降り立った6つの星の住人について紹介してくれます。
6つの星の住人はこのような特徴がありました。
・自分の地位に自尊心を持っている王様
・賞賛の声しか耳に入らない自惚れ男
・酒飲みが恥ずかしくて、そんな自分を忘れたい飲んだくれ人間
・星の所有権を主張し、数を数えることに夢中な実業家
・一分に一回星が自転するため、一分ごとに点火や消火を行なっている点燈夫
・机の前で探究する地理学者
順番に「権力」「名声」「快楽」「財産」「仕事」「研究」を表していて、人間が溺れがちな危険性をそれとなく示しています。王子さまは、地球にはこのような目に見えやすいものにこだわりすぎている人が、たくさんいることを知ります。
また、王子さまは自分の星で大事に育ててきた1輪のバラが、地球にたくさん咲いている状況を見てがっかりします。「大切にしてきたものが、ありふれていたもの」だったと。
そんなとき、偶然に出会ったキツネに促され、王子さまはもう一度バラのもとへ戻ります。そこで、王子さまは大切なことに気づくのです。
バラ園に咲いているたくさんのバラのために、王子さまは死ねないと言いました。
「きみたちはきれいさ。でも空っぽだよ」と王子さまは続けた。「誰もきみたちのためには死ねない。もちろん、通りすがりの人はぼくのあのバラを見て、きみたちと同じだと考えるだろう。でも、あれはきみたちをぜんぶ合わせたよりもっと大事だ。なぜって、ぼくが水をやったのは他ならぬあの花だから。ぼくがガラスの鉢をかぶせてやったのはあの花だから。ついたてを立ててやったのはあの花だから。毛虫を退治してやったのはあの花だから。愚痴を言ったり、自慢したり、黙っちゃったりするのを聞いてやったのは、あの花だから。なぜって、あれがぼくの花だから」
引用:集英社文庫(池澤様翻訳)
このようにして王子さまは本当に大切なものを気づくのでした。
【大切なものと、本当の幸せとは】
幸せになることは、すごく難しいと思います。
人間は幸せになろうとすると、お金や名声、ステータス、趣味など「いま持っていないもの」を得ようとしがちだからです。もちろん、それは生きる力になって、手に入れた瞬間は幸せになるでしょう。
ただ、それを手に入れたあと、また他の何かを求め続けていては、きっとその渇きが潤うことは永遠にありません。「いまそばにある幸せ」に目を向けることができれば、心が満たされていくのではないでしょうか。そして、いま大切にしている何かと過ごした時間は、深く長いほど美しいです。
大切なものは目に見えません。本当の幸せとは正解が無くて形もありません。
ですが、いま自分が愛してる何かを大切にした日々や思い出は、きっと、どの宝石よりも輝いています。そしてそれは、唯一時間が経つほど価値が上がる かけがえいのないものとなるでしょう。
疲れたとき、悩んでいるとき、自分が不幸だと感じてしまったときに
砂漠にあるオアシスのように、優しい希望を与えてくれたこの物語を思い出したいです。
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