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外国人介護士と日本のビジョン

  • 執筆者の写真: 広 天田
    広 天田
  • 4月6日
  • 読了時間: 3分

―「人手」から「人財」へ。ともに築く、これからの介護―


日本は今、世界でも類を見ないスピードで高齢化が進行しています。それに伴い、介護業界では深刻な人材不足が続き、多くの現場が限界に近い状況にあります。


この課題を乗り越える方法のひとつとして注目されてきたのが、外国人介護人材の受け入れです。なかでも、ホスピタリティに富み、明るく真面目な性格を持つフィリピンやインドネシアの介護人材は、日本の介護現場において高く評価され、全国各地で活躍の場を広げています。


とはいえ、外国人材の受け入れは、当初から順調に進んできたわけではありません。初期の頃は、慢性的な人手不足を補うための“応急措置”として導入されるケースが多く、「日本人並みの日本語力」や「読み書き能力」「方言の理解」など、過度な要望が求められることもありました。さらに、文化的背景や習慣の違いに対する配慮が不十分で、受け入れ体制も整っていない状況では、せっかく来てくれた外国人が短期間で辞めてしまう例も少なくありませんでした。


しかし、ここ数年で大きな変化が見られるようになってきました。人材不足がいっそう深刻化する中で、「日本人でなければならない」というこだわりは薄れ、どのような国籍であっても、共に働き、育ち合える仲間として迎え入れる姿勢が徐々に広がってきたのです。


今、現場で本当に求められているのは、完璧な語学力よりも、「人と向き合う力」「チームワーク」「介護への真摯な姿勢」です。たとえ日本語が拙くても、目を見て、笑顔で寄り添える力は、介護において非常に価値があります。文化の違いを超えた温かさや誠実さが、利用者や職員の心を動かし、施設全体の雰囲気を明るく変える力になっていると、私は日々実感しています。


こうした背景のもと、今後の介護業界では、外国人材の採用姿勢において、二極化が進むと考えられます。


一方では、コストを抑えるために、短期的に人手を埋めることだけを目的とする施設もあるでしょう。しかし、もう一方では、「人財」として長期的な育成と定着を見据え、キャリア形成や生活支援まで視野に入れた取り組みを進める事業者も確実に増えていくはずです。


私は、後者の姿勢こそが、これからの介護を持続可能なものにしていく鍵だと考えています。そのためには、採用後のサポート体制の充実が欠かせません。たとえば、現場に即した日本語指導、将来のキャリアパスの提示、異文化理解を促す取り組みなどが挙げられます。信頼関係を築くことで、外国人スタッフが「この場所で働き続けたい」と思える職場を整えていくことが大切です。


そして、こうした取り組みを形にするには、信頼できるパートナーの存在が不可欠です。送出し機関、日本語学校、登録支援機関など、採用から定着、そして戦力化までを一貫して支援してくれる専門家たちと連携することで、より質の高い外国人材の育成と活用が可能になります。


大切なのは、「どこの国の人を採用するか」ではなく、「どのような価値観を共有するパートナーと協力するか」です。文化や背景の違いを認め合いながら、同じ目標に向かって進んでいける関係性こそが、“共創”の土台になります。


私が立ち上げた株式会社ミヤマリンクでは、外国人介護人材を“労働力の補填”ではなく、“これからの介護をともに創る仲間”として迎え入れています。現場を預かる特別養護老人ホームの事務長としても、彼らの存在が現場にもたらす希望と可能性を強く感じています。


「誰でもいい」ではなく、「この人と働きたい」。

そんな出会いを大切にしながら、共に学び、共に育ち、共に笑い合える介護現場を、これからも一歩ずつ広げていきたいと思います。



 
 
 

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