私は授業料の日本一安い公立大学と言われる、高崎経済大学で経営学科を専攻しました。もともと裕福な家庭ではなかったので、お金のかからない大学で、お金を増やす仕組みを学びたいと考えていたからです。そんなルーツがあり、マーケティング・会計・イノベーションに関するテーマには、アンテナを常に張っています。久々に経営学に関する本を読んだので、参考になったことと自社はどうしているかを綴ります。
1.ターゲット顧客の定義
ターゲットは、ワイパーを売るなら自動車メーカーなど、分かりやすいケースもありますが、明確に定めにくい場合もあります。ランドセルを例にとります。この場合、商品の購入を決める「意思決定者」は両親、お金を出す「購買者」は祖父母、「使用者」は子どもとなる。そのためビジネス上、本当のターゲットは誰なのかを吟味する必要があります。介護福祉で言えば、「意思決定者」はご家族と要介護者、「購買者」はご家族と行政機関、「使用者」は要介護者です。
みのわの里三山では、各職員に自分たちの顧客の定義をして、どうやったら喜んで頂けるかを考えるように呼び掛けています。事務課(相談員・ケアマネ・栄養士)は、ご家族のニーズを満たす努力をし、介護課・医務課は、要介護者(入所者)の「最期まで自分らしく過ごしたい」想いをカタチにするケアを目指しています。
2.「差別化」と「ニッチ戦略」の違い
「差別化」と「ニッチ戦略」は混同されがちだが異なる戦略です。「差別化」とは他社と競争するためのものです。逆に、「ニッチ」とは他社と競争しないためのものです。「差別化」は業界1位の企業に対して、チャレンジャーの企業が仕掛けます。「ニッチ」は、業界上位とは関係なく、限られた市場で生き残りを目指します。
「差別化」を追求するとコストが上がります。そこでプロセスを効率化したり、あえて簡素化したサービスを提供したりする「マイナスの差別化」といった手法が有効です。QBハウスはカットのみに特化することで、低価格ながら高い回転率で利益を出している事例の1つです。
「ニッチ戦略」には、質と量の面があります。質は、ほかの企業の資源ではカバーできない分野にしぼって事業を行うこと。量は、小さな企業に比べて固定費が高額になる大企業にとって採算の合わない小さい市場や、コストのかかる市場をねらう手法です。質と量のどちらか、もしくは両方を組み合わせた方法で、各社独自のビジネスを展開しています。
ミニ特養)みのわの里三山は、大規模な特別養護老人ホーム(60床以上)では難しい、アットホームな雰囲気でのケアを目指しています。
大規模施設の課題は、利用者が大多数いることと、介護人材不足の業界構造から、介護士が出勤して早々に担当するユニットや利用者が突然変わり、利用者のことをよく理解できていない状態で急遽ケアす場合があります。
一方で、小さい特養であれば、毎日同じメンバーが同じ利用者を観れる「顔なじみの関係性」が築けて、もう一つの家族関係のような心許せるコミュニケーションがとれるようになります。
一般的に、ミニ特養は、採算性が合わず赤字の施設が4割を超えます。私たちは、6割の黒字企業を目指しています。業務の効率化を行い、可処分時間を増やし、利用者と触れ合い時間を増やす努力をしています。
また、コスト意識の醸成を行うため、口酸っぱく節電を呼びかけたり、仕入先から一括購入をしたり、再選定をしたり、新品でなく中古を利用したり、「時間」」と「お金」に余裕を持った施設にする企業努力を行っています。
余裕が無い生活や仕事では、必ず何かで ほころび がでます。余裕が無いと、仕事が業務へ、業務が作業へ。どんどん無意識、無味乾燥なサービスとなっていきます。効率化を重ねることで、非効率なサービスの時間に費やせる施設にできます。利用者も職員も笑顔で過ごせる、家庭的なシェアハウスを皆んなで築いていきます。
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